ママ・パパに聞いたよ!ASDと子育て実態調査!ママ・パパに聞いたよ!ASDと子育て実態調査!

調査レポート01

両者に隔たる大きな溝!
当事者と周囲のASD理解ギャップ

ASD(自閉症スペクトラム)について正しく学んでいくため、まずはASDの子どもたちや保護者が置かれている現状を調べてみたんだ。ASDと診断された子どもの保護者と、典型発達の子どもの保護者では、ASDの認知や理解にどれくらい違いがあるんだろう。今回の調査で分かったことを紹介していくね。

ASDまたはその疑いが
ある子どもは13人に1人

まずは日本の0~22歳までの子どものうち、ASDの特性をもつ人の割合をみていくよ。

ASDの特性をもつ子どもの割合ASDの特性をもつ子どもの割合

今回の調査結果によると、ASDの診断がある子どもの割合は2.3%で、だいたい40人に1人いることがわかったよ。そして、診断はないけどASDの疑いがあると保護者が感じている「グレーゾーン」の子どもの割合は5.4%で、20人に1人以上いることがわかったんだ。

「こだわりが強い」、「周囲の関わりにうまく応答できない」などの特性を健診で指摘されたり、友だちとの集団での遊びに参加できないなどの様子を園や学校の先生から聞いたりしたことがきっかけで、診断を受ける子どもが多いんだけど、たとえ診断がなくてもグレーゾーンとしてASDの可能性をもつ子どもがこれだけ多くいるんだね。

ひとくちにASDといっても、一人ひとりの特性の強さには様々な違いがあるんだ。だから、スペクトラム(連続体)って呼ばれているんだね。診断がつく子どもとそれ以外の子どもの境界線も曖昧で、グレーゾーンまで含めた当事者の子どもの割合は7.7%いて、だいたい13人に1人いることになるんだ。これを日本の0〜22歳の人口(2553万人)に割り戻すと200万人近くもいるんだよ。200万人というと、長野や岐阜県の人口と同じくらい。決して小さな世界の話ではないことが分かるよね。

典型発達の子どもの保護者の
ASD理解は、当事者の10分の1

次は、典型発達の子どもの保護者にASDがどれくらい知られていているかを一緒に見ていこう。

典型発達の保護者によるASDの認知率典型発達の保護者によるASDの認知率

調査結果によると、典型発達の子どもの保護者の約8割がASDについて知っていることがわかったよ。この数字を見るとASDに社会的な注目が集まっていると考えられるね。

認知率が高いことはわかったけど、どのくらいの保護者がASDの特性を詳しく理解しているんだろう。調査結果を見てみよう。

ASDの理解ギャップASDの理解ギャップ

「ASDの特性を詳しく知っている」と答えたASDの子どもの保護者は59.1%いるのに対して、典型発達の子どもの保護者は、その約10分の1、たった5.9%しかいなかったんだ。当事者とそうじゃない人の間には大きな理解のギャップがあるんだね。

また、こうした理解のギャップを感じているためか、ASDの子どもの保護者のうち、「ASDが世の中から正しく理解されていない」と感じている人の割合は約半数の45.7%もいたんだ。

ASDの子どもをもつ保護者の意識ASDの子どもをもつ保護者の意識

典型発達の子どもの保護者の
4人に1人が
ASDについて
知りたい・学びたいと思っている

さて、典型発達の子どもの保護者と、ASDがある子どもの保護者のASDの理解ギャップが大きいことがわかったけど、ASDについてこれから学びたいというニーズはどれくらいあるのかも調べてみたよ。

ASDについて知りたい・学びたいと思う保護者の割合ASDについて知りたい・学びたいと思う保護者の割合

「ASDについて知る・学ぶ機会が欲しい」と答えたのは、典型発達の子どもの保護者が23.9%、ASDの子どもの保護者が28.4%、グレーゾーンの子どもの保護者が32.7%だったんだ。

典型発達の子どもの保護者でもだいたい4人に1人は知る・学ぶ機会が欲しいと答えているね。また、グレーゾーンの子どもの保護者が、知る・学ぶ機会を強く求めていることが読み取れるよ。

子どもの年齢別に見てみると、特に0〜6歳の未就学児のタイミングでASDについて知りたい・学びたいという保護者が多いことが分かるね。

子どもが何歳のときにASDについて知りたい・学びたいと思うか子どもが何歳のときにASDについて知りたい・学びたいと思うか

診断のある・なしにかかわらず、一人ひとりにASDのことをもっと身近に感じてもらえるように、これからもASDのさまざまな情報を発信していくね。

調査レポートに対する
専門家の声

アメリカで行われた調査(Baioら,2014)では、ASDと診断された子どもの割合は平均1.68%、地域によって1.31%~2.93%の幅だったことが報告されており、今回の2.4%もそれに近く、日本だけの結果ではないと言えます。

また、子どもが0~6歳のタイミングでASDを知る・学ぶ機会が欲しいという声が多いことが分かりましたが、就学という新しいライフステージに移行する移行期(進学や就職など大きな環境変化の時期)は、子どもにとっても保護者にとっても不安が高まりやすい時期と言われています。その不安の高まりから、知りたい、学びたいという気持ちにつながっているのかもしれません。

【専門家プロフィール】

菅佐原 洋

公認心理師/臨床心理士/臨床発達心理士
LITALICOジュニア チーフスーパーバイザー

発達心理学や応用行動分析学を専門とし、発達障害のある子どもへの直接支援、幼・小・中学校教職員への特別支援アドバイザー、教育センター等での研修などに20年以上携わっている。また大学教員として、臨床心理士育成などに関わっており、現職においても支援に関わる指導員への研修やスーパーバイザーの育成の統括を担当している。

ASDと子育て実態調査・調査概要

調査手法: インターネット調査
調査エリア: 全国
調査時期: 2020年1月
調査対象者: 0~22歳の子どもと同居する20~60代の保護者(男女)
①ASDと診断された子どもの親(n=545)
②典型発達の子どもの親(n=747)

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